入居率0%からの復活!

東松山放置空き家復活PROJECT

埼玉県東松山市(ひがしまつやまし)。国道254号線沿いに建つ無人の借家7棟。
長い間 見向きもされず、手付かずだったこの放置空き家に足を踏み入れると、
想像以上に老朽化している天井・床・壁。

そこにいた誰もが(これはなかなか厳しいなぁ…)と思っていたその時、
「いいねぇ~!」と絶賛し、キラキラした瞳で一人ニコニコしている男が。
そう。リノコンプロジェクト 主宰 田淵憲一 その人である。

「この出会いは運命!こういう物件を再生してこそ価値があるんだ!」

そう叫ぶ田淵の一言で、東松山放置空き家復活プロジェクトが始動した。

ただキレイに、
カッコ良くするだけじゃダメだ!

私たちには大切にしている“最初にすべきこと”がある。
それは、「なぜ、そこから人が離れたのか?」を考えること。

建物が古くなったことが原因であれば、キレイに直せばいい。
でも、長い年月で地域が変わり、人が変わり、そこに住まうことの魅力を失っていたとしたら、 ただキレイにするだけでは人は戻らない。
東松山の物件は明らかに後者だった。

「ただキレイにみばえ良くするだけじゃダメだ!
新しい価値や用途を生み出さなければこの物件は復活しない!」
このプロジェクトに参加するすべての人間がこのことを胸に、コンセプトづくりが始まった。

再現ではつまらない。
良い所をまとめてみよう!

コンセプトについてさまざまな意見が出る中、 ある者が「せっかく棟数がある平屋だから、いっそのこと一つの村をつくったらどう?」と言った。

「ヨーロッパが好きな人を引き付ける空間を作って集落を形成したら一定数集まるかも。」

「ん~どうだろう。プロヴァンスとかのイメージで作られた場所は既にあるから、新しさはないよね。」

「じゃー色々なヨーロッパの田舎町を調べてみますか。」

実際に調べてみると、フランスのアイノア、リクヴィール、エズ、イタリアのオルヴィエート、チンクエテッレなど、 ヨーロッパ各地には素敵な街並みがたくさんあった。

「それぞれに良さがあって甲乙つけがたいよね。どの街並みにしようか?」

「でも、一つに絞ったら、単なるその町の再現になっちゃうよね。それじゃつまらない。」

「だったらいいとこ取りで融合しちゃおうよ。
 自分たちが持つ材料や技術は、思い描いたもの・想像をそのまま形に出来ることが強みだし。」  

「いいね!ヨーロッパのさまざまな田舎町のデザインを融合して一つの村をつくる!」

「村だから1軒1軒が色々なお店だとさらに楽しいよね!」

こうしてコンセプトが固まっていき、具体的な設計と積算、事業計画の作成が始まった。

コストとの闘い

この物件は収益物件としてよみがえらせなければならない訳で、
良いものをつくっても費用が掛かり過ぎてしまっては意味がない。
周辺の家賃相場を調べ、仮の家賃を設定し、収益性を考えたときに
いくらまで工事費用を掛けられるのかを計算、その額を予算とした。

予算が決まったのち、まずは通常考えられる工事方法で設計と積算を行った。
もともと私たちが得意とするセメントを使った造形はコストパフォーマンスの高い工法ではあるものの、
それでもやはり予算オーバーしてしまった。
壁が腐っていてそのまま使えなかったことも響いた。

デザインの質を落としてしまうコストカットは魅力をそぐことになるので、これは出来ない。
ただ単純に値交渉をして落とせる額にも限界がある。
もっと違うやり方・考え方をしなければ、予算内に抑えることは到底不可能だった。

材料の組み合わせと
工法の工夫などで解決!

当初、屋根は洋瓦での葺き替えを考えていた。
スレートではコストは落ちてもコンセプトを満たすデザインとならないからだ。
しかし、洋瓦の葺き替えは1棟当たり約80万円ほど掛かり、思いのほかコスト高になっていた。

そこでまず考えたのが、FRPで既存の屋根をそそまま覆ってしまうもの。
FRPは形状もある程度自由に作れ、防水も問題なく、塗装も出来るのでデザイン的にも問題ない。
早速見積もりを取るも、洋瓦への葺き替えよりも高値となり、あえなく撃沈!

ただ、「防水」「塗装」のキーワードは頭に残り、そこから活路が生れた。
今の瓦をそのまま使って塗装で洋瓦のようにする方法だ。
まず、高圧洗浄で汚れを取り、ハチヤマテリアルで取り扱っている防水材「ムラスティーコート」を塗布、
その上からハチヤマテリアルオリジナルのデザイントップ工法による吹き付けを行うことで、
防水の問題、デザインの問題はクリア出来た。
あとはコストだが、積算をしてみると1棟当たり約50万円と、約38%のコストダウンとなった。

▲ デザイントップ工法で仕上げた屋根。各屋根には特殊セメントで作ったオブジェが乗る。

その他にも外構の植栽をやめ、コンクリートを全面に打つことで、剪定や草刈り、植え替えなどの維持・管理費を抑制した。
植栽がないと景観が損なわれる心配があるが、全面に打ったコンクリートをスタンプコンクリートでデザインし、
各所に鉢植えを置くなどすることで問題なく景観は保たれた。

▲ 植栽がなくてもスタンプコンクリートと鉢植えで保たれた景観。

完成!

2016年10月吉日。
ヨーロッパ各地の田舎町のデザインを融合した個性的な家たちが、
なぜかしっくりなじむ「アレコンビレッジ」が完成した。

2018年8月現在、入居率87.5%、入居後の退去者ゼロ!利回り7.82%と、入居率0%から見事な復活を遂げた。

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